「お手紙」その2(展開部)
さて、展開部である。
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かえるくんは、大いそぎで家へ帰りました。えんぴつと紙を見つけました。紙に何か書きました。紙をふうとうに入れました。ふうとうにこう書きました。
「がまがえるくんへ」
かえるくんは、家からとび出しました。知り合いのかたつむりくんに会いました。
「かたつむりくん。」
かえるくんが言いました。
「おねがいだけど、このお手紙をがまくんの家へもっていって、ゆうびんうけに入れてきてくれないかい。」
「まかせてくれよ。」
かたつむりくんが言いました。
「すぐやるぜ」
それから、かえるくんは、がまくんの家へもどりました。
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★伏線
この場面では、2つの謎がクライマックス場面への伏線となっていることがわかる。
この場面では、2つの謎がクライマックス場面への伏線となっていることがわかる。
1つは、「お手紙」の中身である。
「かえるくんは、おおいそぎで・・・」から「・・・~ました。」「ました。」が続く書かれ方からは、かえるくんが、迷ったり、悩んだり、考えたりせずに、素早く手紙を書いているように感じられる。かえるくんのがまくんに対する思い、人のよさが読み取れる。そして封筒の表に「がまがえるくんへ」と書く。ここは読み手である読者へ、手紙の内容に興味を持たせているところである。
2つ目の謎は、なぜかたつむりくんだったのか?ということである。謎であるとともに、面白いところでもある。
かえるくんが、こんなにも急いで帰り、あわてて手紙を書いた理由は、一刻も速くがまくんにお手紙を届け、悲しんでいたがまくんに、喜んでもらいたかったからにほかならない。
ところが、かえるくんが手紙を託した相手は、かたつむりくんであった。かたつむりと言えば、その進む速さはゆっくりである。この「ゆっくり」がクライマックスの伏線になってくる。
まず、自分でがまくんに届けるという方法もあったはずである。もちろん、それは、がまくんが言うところの「お手紙」は、単に封筒に入った手紙ということではなく、郵便として、差出人(今回はかえるくん)がいて、配達人(かたつむりくん)が運んで、それを受け取るという(第三者の介入・公的な社会的な制度・大人社会)ことだということをかえるくんも分かっていたからに他ならない。
かたつむりくんに頼んだのは、偶然だったのか、必然だったのか?
もし偶然なら後の展開を考えると、ものすごく幸運だったと言える。もし最初から「かたつむりくん」に頼むことを考えていたとしたら、後の展開はかたつむりくんの意図通りだと言える。「知り合いのかたつむりくんに会いました。」であるから、偶然出会ったとも読めるし、訪ねて会ったとも読める。流れ的には、偶然に出会ったと読める。かえるくんが家を出て最初に出会ったのが、かたつむくんだったいうことだろう。
それにしてもかえるくんは、かたつむりくんが遅いということを考えなかったのだろうか。それは、かたつむりくんがゆっくりだと言うことに、気づかないくらい一生懸命であったのだろうと考えられる。ここから読み取れるかえるくんの人物像は、そそっかしく、あわてものもだと言える。もちろんそれは、がまくんを一刻も速く喜ばせたいということであるから、友達思いであり、優しいということの裏返しでもある。なんとなくほのぼのとした人の良さも感じられる。この人の良さ、そそっかしさが、二人で手紙を待つという、何とも言えない喜びの時間をもたらすことになるのである。
かえるくんが、こんなにも急いで帰り、あわてて手紙を書いた理由は、一刻も速くがまくんにお手紙を届け、悲しんでいたがまくんに、喜んでもらいたかったからにほかならない。
ところが、かえるくんが手紙を託した相手は、かたつむりくんであった。かたつむりと言えば、その進む速さはゆっくりである。この「ゆっくり」がクライマックスの伏線になってくる。
まず、自分でがまくんに届けるという方法もあったはずである。もちろん、それは、がまくんが言うところの「お手紙」は、単に封筒に入った手紙ということではなく、郵便として、差出人(今回はかえるくん)がいて、配達人(かたつむりくん)が運んで、それを受け取るという(第三者の介入・公的な社会的な制度・大人社会)ことだということをかえるくんも分かっていたからに他ならない。
かたつむりくんに頼んだのは、偶然だったのか、必然だったのか?
もし偶然なら後の展開を考えると、ものすごく幸運だったと言える。もし最初から「かたつむりくん」に頼むことを考えていたとしたら、後の展開はかたつむりくんの意図通りだと言える。「知り合いのかたつむりくんに会いました。」であるから、偶然出会ったとも読めるし、訪ねて会ったとも読める。流れ的には、偶然に出会ったと読める。かえるくんが家を出て最初に出会ったのが、かたつむくんだったいうことだろう。
それにしてもかえるくんは、かたつむりくんが遅いということを考えなかったのだろうか。それは、かたつむりくんがゆっくりだと言うことに、気づかないくらい一生懸命であったのだろうと考えられる。ここから読み取れるかえるくんの人物像は、そそっかしく、あわてものもだと言える。もちろんそれは、がまくんを一刻も速く喜ばせたいということであるから、友達思いであり、優しいということの裏返しでもある。なんとなくほのぼのとした人の良さも感じられる。この人の良さ、そそっかしさが、二人で手紙を待つという、何とも言えない喜びの時間をもたらすことになるのである。
そして、それを受け取るかたつむりくんのセリフ「すぐやるぜ」も、なんとも間が抜けているというか、面白いセリフである。
かえるくんのそそっかしさは、次の場面でも読み取ることができる。
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がまくんは、ベッドでお昼ねをしていました。
「がまくん。」
かえるくんが言いました。
「きみ、おきてさ、お手紙が来るのを、もうちょっとまってみたらいいと思うな。」
「いやだよ。」
がまくんが言いました。
「ぼく、もうまっているの、あきあきしたよ。」
かえるくんは、まどからゆうびんうけを見ました。かたつむりくんは、まだやって来ません。
「がまくん。」
かえるくんが言いました。
「ひょっとして、だれかが、きみにお手紙をくれるかもしれないだろう。」
「そんなこと、あるものかい。」
がまくんが言いました。
「ぼくにお手紙をくれる人なんて、いるとは思えないよ。」
かえるくんは、まどからのぞきました。
かたつむりくんは、まだやって来ません。
「でもね、がまくん。」
かえるくんが言いました。
「きょうは、だれかが、きみにお手紙くれるかもしれないよ。」
「ばからしいこと、言うなよ。」
がまくんが言いました。
「今まで、だれも、お手紙くれなかったんだぜ。きょうだって同じだろうよ。」
かえるくんは、まどからのぞきました。
かたつむりくんは、まだやって来ません。
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がまくんをびっくりさせるのであれば、黙っておいて驚かせるのが効果的でありセオリーである。しかし、かえるくんは、だまって待つということができず、がまくんに期待させようとするのである。かえるくんは、がまくんが喜ぶ姿を見たい気持ちを抑えられないのだろう。
ここからは、かえるくんのそそっかしさとともに幼さ、幼さから来るであろう(言い方は悪いが)ある種の愚かさと同時に人の良さも感じられる。
ここからは、かえるくんのそそっかしさとともに幼さ、幼さから来るであろう(言い方は悪いが)ある種の愚かさと同時に人の良さも感じられる。
一方で、がまくんは、ふてくされているままである。いい加減気づいてもよさそうなものである。あるいは、「なんでそんなこと言うの?なんでそう言えるの?」と問いただしてもよさそうである。がまくんの悲しさ、怒りがそれほど大きいとも言える。またここにも幼さが感じられるし、幼さから来る愚かさも感じられる。
かえるくんは、まどからのぞきました。かたつむりくんは、まだやって来ません。そして二人の3回のやりとりの間に、かえるくんは、3回もまどのそとを見ている。かたつむりくんが来るのを今か今かと待っているかえるくんのはやる気持ちがわかるところである。
他の文末が「ました。」であるのに対して、「まだやって来ません。」となっている。「まだやって来ませんでした。」ではない。ここだけが断定的で言い切りになっているところにも着目したいところである。
この場面の二人のやりとりは、大変楽しく、おもしろい場面になっている。この場面、読み手によって
「あ~ばれちゃうよ~」「なんでそんなこと言うんだよ~」あるいは「教えてあげればいいのに~」
「なんでがまくんは気づかないんだ~」
「カタツムリ君遅いよ~」「だからカタツムリ君なんかにたのむからだよ~」
「この二人、なんだかおもしろ~い。」
はらはらする子もいれば、笑ってしまう子もいるだろう。中にはイライラする子もいるかもしれない。子どもによって、様々な反応が予想される。
二人のキャラクターと、そのぶつかりそのものが面白いところである。名(迷)コンビと言える。
それと同時に
「がまくん。」(3回目だけ「でもね、がまくん。」)
「がまくん。」(3回目だけ「でもね、がまくん。」)
かえるくんが言いました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」(強い拒否)
がまくんが言いました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」(理由というか、、、)
かえるくんは、まどからゆうびんうけを見ました。かたつむりくんは、まだやって来ません。
パターンの繰り返しであり、その繰り返しの面白さ(書かれ方・文体)などが面白さの要因となっている。
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