2013年5月7日火曜日

「動いて、考えて、また動く」 高野 進   教材研究

1,    表層
①    語句 ぎもん・工夫・うでで走る
②    指示語
1段落
4文「そのように」→運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切
2段落
2文「それは」→当時取り組んでいた走り方は
5文「この方法」→(「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」)つまり大きな動作で走る
3段落
4文「このとき」→すばらしい結果が出たとき
4段落
1文「それまで」→大きな動作で走っていたとき
3文「それは」→ひざを高く上げること
   5段落
1文「それから」→地面を強くふむことを意識して行うことが大切だと気づいてから
    3文「その力で」→あしを後ろにける
    4文「これでは」→あしを後ろにけって、その力で前にすすもうとすると
    4文「そのあしを」→後ろにのこって
6段落
1「このことは」→
   5「このほうが」
   6「これでは」
7段落
1「このように」
2「そうすることによって」→自分にあったあしの動かし方や、うでのふり方を考えることによって
6「そうでないか」→「何がむだでないか」
  8段落
1「こうした経験」→1段落~7段落
2「そこから」→「まず動く、そして考える」


③    接続後
2段落
「つまり」
「けれども」
「そこで」


1,    構造よみ

    A案     B案       C案
前文 1段落     1段落     1~2段落
本文 2~7    2~6段落    5~6段落
後文 8      7~8段落    7~8段落

★本文の段落関係  2←【(3←4)+5+6】+7
(問題意識)
2段落 柱 疑問  ①「ひざを高く上げて」 ②「あしを思い切り後ろにける」

(大きな動作で走るAひざの上げ方について)
3段落 柱 「そこで」ひざを高くあげる走り←
4段落 説 「後から考えて分かった」3段落の説明
    (大きな動作で走るBあしのけりについて)
5段落 柱 「もう一つの」あしを思い切りける走り方
(大きな動作で走るCうでのふり方について)
6段落 柱 「あしの動きと同時に、うでのふり方も」

(本文のまとめ)
7段落 柱 「このように」

2,    論理よみ

1段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)運動でも勉強でも、「まず動く、そして考える」ことが大切です。
②    (説)そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると、きっと、自分にとって最高のものを実現できます。
③    (事)わたしは、かって陸上四百メートル走の選手であり、今はコーチとして指導をしています。
④    (理)最高の走り方を目ざして取り組んできた長年の経験から、そのように考えるようになりました。
★【文関係の考察】
1段落の①文と②文は2通りの関係が考えられる。
A①で最初に主張を述べ、②で説明している。
タイトルからも分かるとおり、①文が柱。②文は①文の説明。
①と②の関係をみると次のように考えられる。
・①「まず動く、そして考える」=説明②(何度も成功や失敗をくり返しながら)工夫を重ねる
・①「大切」=説明②「自分にとって最高のものを実現」
また、説明と同義あるいは類義の補足ともとれる。
「何度も成功や失敗を繰り返しながら工夫することが大切で、そのためには「まず動く、そして考える」事である。
Bまた②文は①文の言い換えとも考えられる。どちらが高次元かということ、前出と同じ理由で①文となる。
③④は、①のような考えにいたった背景?を述べている。背景を述べつつ権威付けをしている。
★【要約】「まず動く、そして考える」ことが大切だ。(20文字)
2段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)わたしが走り方を工夫し始めたきっかけは、高校生のとき、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことでした。
②    (説)それは、「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走るというものです
③    (説)そうすれば、速く走れるといわれていたのです。
④    (説)わたしは、毎日毎日この練習をくり返していました。
⑤    (説)けれども、この方法で四百メートルを走ると、苦しくて最後までつづかないのです。
⑥    (説)「何かがちがうのではないか。」と、なやみ始めました。
★【文関係の考察】
A案
①文が柱。②文の「それは」は①文の(ぎもんを感じた)「当時取り組んでいた走り方」であり、よって②文は①文の説明。①文に絞り込まれる。③文はその走り方に対する当時の受け取り方。当時の盲信ぶりを述べることで、①文の「ぎもん」を持ったことの非常識の度合いの価値付けになっている。③文は①文の補足的な説明。④~⑤までは、①の「ぎもん」を持つにいたった経過の説明。
B案
柱は①文。②③文は、①文の「当時取り組んでいた走り方」の説明。④⑤文は、⑥文の「なやみ」の生まれた背景。そしてそのまま⑥文が①文の「疑問」の内容。
★【要約】
柱①文の要約→走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことだ。40文字
説②「大きな動作で走る」を①文の要約文に挿入する。
2段落の要約文=走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた「大きな動作で走る」走り方にぎもんを感じたことだ。50文字
★【吟味】
一文をさらに要約すると結局「工夫し始めたきっかけは、ぎもんを感じたことだ。」となる。究極的には「ぎもんをかんじたこと」が「工夫」につながると述べている。これは「動く、そして考える」が逆ではないのか?もちろん「卵と鶏」の関係なのであろうが、、、、。


3段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)そこで、わたしは、少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためしてみました。
②    (説)あるとき、「ひざを高く上げるような、大きな動作をせず走ったらどうなるのか。」と思いつきました。
③    (説)静岡県の記録会でためしてみると、予想をはるかに上回るすばらしい結果が出ました。
④    (説)このとき、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思いました。
★【文関係の考察】
柱は①文。②文の「」が①文のべつの走り方
柱が①文か②文か異論が出るところ
・①文を柱とする考え。①文の「あれこれ」こそが筆者のいうところの「まず動く、そして考える」そのものと考えられるからである。
また①文の「べつの走り方」は、②文の「ひざを高く上げるような、大きな動作を」しない走り方であり、②文は①文をくわしく説明している。③④文はその結果の説明。
・②文を柱とする考え。しかし①文は②文の思いへ至った経過の説明だとも考えられ、②文が筆者が言うところの「まず動く」にあたるのであろうことから②文が柱とするとらえ方。
・結局文章は筆者の意図とは関係なく書かれた独立したものだとする立場に立てば、「書かれ方」こそが重要だという立場から考えると、①文を柱とし、②文がそれに対応する文だと考えるのが今のところ妥当とする立場に立つ。
③文は②文で「思いついた」ことの結果の説明。
④文は②文で「思いついた」こと、③文の「すばらしい結果」が出たことの論理的な説明。
★【要約】①文=少しでも楽に走れないものかと、べつの走り方をあれこれためした。(31文字)
前文の「動いて、考えて、また動く」の「動いて」にあたるのは、「別の走り方を」「あれこれためし」である。よって、そこを具体的に入れると、
少しでも楽にはしれないかと、べつの走り方をあれこれためし、あるとき「ひざを高く上げない」走り方をためした。
④文=このとき、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思いました。を合わせて要約文とする。
楽に走れないかと、べつの走り方をためした結果、必ずしも大きな動作で走るのがよいとはかぎらないのだと思った。(57文字)
★【吟味】
②文から①文へと辿り着いた経過はどうだったのか?どの程度試行錯誤があったのか?②文の他にどんな走り方をやってみたのか?本当に他の走り方をしたのか?

4段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (説)後から考えて分かったのですが、それまでのわたしの、走るとき「ひざを高く引き上げる」ことばかりを考えすぎていました。
②    (説)たしかに、ひざを高く上げることは必要です。
③    (説)でも、それは地面をより強くふむために必要なのであり、ただ高く上げることに意味があるわけではないのです。
④    (柱)同じひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気がつきました。
★【文関係の考察】
3段落の結果の説明の段落である。よって4段落は、3段落に絞り込まれる。よって要約する必要はない。
★【要約文】ひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切なのだと気づいた。
★【吟味】なぜ、地面を強くふくことが必要なのか?
     結局、ひざは高く上げるのか上げないのか?



5段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (説)もう一つの「あしを思い切り後ろにける」ことについては、それからしばらくして、べつの発見をしました。
②    (柱)あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよいのです。
③    (説)走るときは、ついあしを後ろにけって、その力で前に進もうとしています。
④    (説)しかし、これではあしが後ろにのこってしまい、そのあしを前にもってくる分のむだが生じます。
⑤    (例)忍者がぴたあっと下り坂をかけ下りていくようなイメージで走ると、体のむだな動きがなくなり、すうっと進んでいけます。
【文関係の考察】この段落も、4段落とともに3段落に絞り込まれる段落である。


6段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)あしの動きと同時に、うでのふりも重要です。
②    (説)このことは、陸上をつづけているとだれもが気がつくことです。
③    (例)陸上では、「うでで走れ。」という言葉があるほどです。
④    (例)ためにし、両手を後ろに組んで数十メートル走ってみてください。
⑤    (説)このほうが速く走れるという人はいないでしょう。
⑥    (説)これでは、着地するごとにかたがゆれてしまい、地面を強くふむことができません。
⑦    (説)右あしを出したときに左うでを前にふる、左あしを出したとき右うでを前にふるようにすれば、体全体のバランスが取れて、うでの力も使って力強くふみつけることができるようです。
★【文関係の考察】
②文~⑥文までは、①文「うでのふりの重要」性の説明。⑦文は①文に対応し、どううでをふればいいのかの説明。
★【要約文】うでのふりは、体全体のバランスを取り、力強くふみつけるために重要だ。(34文字)
なぜ「うでのふりが重要」なのかは、⑦文の「バランス」にあり、「バランス」がとれれば「力強くふみつけることができる」となっている。よって①文+⑦文で要約文を作る
★【吟味】


7段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (説)このように、いろいろためしながら、自分に合ったあしの動かし方や、うでのふり方を考えました。
②    (柱)そうすることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がします。
③    (説or前提)人によって、ほねの長さや筋肉のつき方はちがいます。
④    (説or結論→前提)ですから、習ったことなぞるだけでは、自分に合った走り方を身につけることはできません。
⑤    (説or最終結論=柱)何がむだか、そうでないかは、自分で動いてみて発見するしかないのです。
★【文関係の考察】
A案 ②文を柱とし、他の文は②文の説明する見方
①文の「このように」で、2~6段を受け「自分に合ったあしの動かし方」「うでのふり方を考えました」とまとめている。②文の「そうすることによって」で①を受けて、まとめたことを「自分にとって最高の走り方」より高次に言い換えている。②文が柱。②文の「自分にとって最高の走り方」を①文の「自分に合ったあしの動かし方」「うでのふり方」が説明しているとも言える。③~⑤文は、②文の「自分にとって」の説明とも言える。
B案 ①②文と③④⑤文では違う内容を述べており、②文と⑥文、柱が2つあるとする見方
①②文は②~⑥段のまとめ。①文を②文で言い換えてまとめているので柱。
③文は④文の前提、④文が結論でありさらに⑤文の前提、⑤文が結論(柱)。とみる見方。
★【要約文】
いろいろためしながら考えることによって、自分にとって最高の走り方を見つけることができた気がする。
★【吟味】
・「自分にあった」「あしの動かし方」・「自分にあった」「うでの動かし方」
・それは「自分に(筆者)に合った」走り方なのか?多くの人に合った走り方=走り方の基本ではないのか?
★2~7段落までの要約
2段落→走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた走り方にぎもんを感じたことだ。
 (当時取り組んでいた走り方)→「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」、つまり大きな動作で走る」①+②走り方を工夫し始めたきっかけは、当時取り組んでいた「ひざを高く上げて」「あしを思い切り後ろにける」走り方にぎもんを感じたことだ。
3段落→少しでも楽に走れないかと、べつの走り方をあれこれためしてみた
 (べつの走り方)→ひざを高く上げるような、大きな動作をせずに走る走り方。
①+②少しでも楽に走れないかと、ひざを高く上げるような、大きな動作をせずに走る走り方をためしてみた。
4段落→ひざを高く上げる動作でも、地面を強くふむことを意識して行うことが大切だ。
5段落→あしを後ろにけるのではなく、体の下にしぜんに下ろしていく感じで走るとよい。
6段落→あしの動きと同時に、うでのふりも重要だ。
7段落→そうすることで、自分にとって最高の走り方を見つけることができた。
8段落・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
①    (柱)こうした経験からみなさんにつたえたいことは、自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切だということです。
②    (説)自分なりの工夫も発見も、そこから始まります。
③    (説)自分から積極的に動いてみましょう。
④    (柱)そうして、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかるはずです。
★【文関係の考察】
★【要約文】
①自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切である。
⑤    成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法が、きっと見つかる。
①+④自分にとって最高のものを実現するためには、「まず動く、そして考える」ことが大切で、成功や失敗をくり返し、工夫を重ねていくことで、あなたにしかできない方法見つかる。

未完・・・残念

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