2012年5月23日水曜日

「瓶にさす藤の花ぶさみじかければ・・・」教材研究


昨日の例会で、読んだ子規の有名な短歌
まだ、仮提案ですが教材研究をアップします
みんなで、さらに深めていきましょう

★構造よみ
A
起「瓶にさす」
承「藤の花ぶさみじかければ」
転「たたみの上に」
結「とどかざりけり」
あるいは
転結「たたみの上にとどかざりけり」

B
起「瓶にさす藤の花ぶさみじかければ」
承「たたみの上に」
転結「とどかざりけり」

C
起「瓶にさす藤の花ぶさみじかければ」
承「たたみの上にとどかざりけり」

★語句
(重要)「みじかければ」=みじかいので・みじかいから
「瓶(びん)にさす」と「瓶(かめ)にさす」
「あおむけに寝ながら花の方を見れば」
「藤の花」→春に咲く。房状になり薄紫の花を沢山つける。

★形象よみ
時
藤の花→春→はじまり。生命の息吹。
毎年咲く。めぐってくる春のおとずれ→対して自分は

場
部屋の中。

人物(視点)
・話者は寝ている。
しかも動けないような状態=病床(かなり重い)

事件設定
・「瓶にさす花」「たたみの上にとどかざりけり」
生け花としては、それがあたりまえ。あたりまえの事。
そこを題材としていることに意味が、、、
私自身の現状(病・苦痛)もあたりまえ
↓ 
死→達観しているのか

・「とどかざりけり」=残念
自分の願いを重ねているのか
やりたいことができない、
自分には時間がない、=とどかない
無念さ。

・・・・・未完

2012年5月22日火曜日

5月22日例会報告

参加者が少ないかと心配していたが
15名参加で驚いた


今回も、悩みに悩んだ
先週火曜、学生向けの学習会を別途したこともあり
疲れてもいて
なかなか準備する気力になれなかった

前回が啄木の短歌を取り上げたのに続き
今回は「いくたびも雪の深さをたづねけり」(正岡子規)と
子規の絶句(3句)をとりあげ、みんなで読んでみた。

俳句は短歌より、より短い
その分、作者の背景等の知識も使いながら
読むことになる。
もちろん、作家論からのアプローチではなく
作品論からのアプローチ
「言葉をてがかり」にして
「31音に隠された謎を解き明かす」
という感じで読んでいく

「いくたびも」では、多くの仲間が実践をして
検証してきたように
小学校では「時」と「場所」の読みで論争が起こり盛り上がる
本日は大人であったし、この俳句を知っている者もいる中ではあったが
それぞれに、自分なりの目のつけどころを出しながら
「時」を読むことができたと思う
この話者(作者・子規)のたずねている様子・雰囲気を
ワクワクしている感じを読ませる助言をうてれば
さらによかったかなと思う。
子規のことを常識的に知っている大人は
どうしてもそれを念頭に読んでいくのであるが
子どもたちは、そこは知らないわけで
なぜ何回もたずねたのか?
という助言に対して
一つにとどまることなく
あくまで可能性を読み広げていくようにしたい
その上で、読みとった上で、
子規についての説明、
及び一般的なこの俳句の解釈を
教える事で
自分たちの(クラス)読みがどうだったかを
客観的に自己評価できると思う

さて、次回は「詩」をとりあげたい
昨日、3~6年までの教科書の詩教材と思われるものを
ひととおり見て、視写(と言ってもパソコンに打ち込んだのだが)した
どれにしようかいまだ迷っているところである
説明文の時のように、学年ごとに教材を
全部見ていくのもいいかなとも思っている
が、まだ模索中、、、、、

教科書をずら~っと見たことで
新たな発見もあった
新しい物語教材がいくつもあり
そちらもみんなで読む価値がありそうだと思った
いつか実現できれば、、、、

いくたびも雪の深さをたづねけり(教材研究)

いくたびも 雪の深さを たづねけり   正岡子規

1、表層読み
  ・季語  雪
  ・切れ字 けり(たずねたもんだなあ)
  ・語句  ①いくたび→何回も
       ②雪の深さ→つもり具合(雪のふりかたではない)
       ③たづねけり→たずねる→◎聞く  ×おとずれる
             →旧仮名遣い
             →けり→切れ字(回想の助動詞・詠嘆)
  ・大まかな全体の意味
        何回も何回も雪のつもり具合を訪ねたもんだなあ

2、構造読み
  いくたびも  雪の深さを  たづねけり
   (起)     (承)  (転・結)
  ・起承は自然な流れ、転結でなぜ聞いたのかという疑問がわく。

3、形象よみ
  【時】  ・季語 「雪」→冬
       ・雪の深さをたづねけり
         冬のはじめ→初めて降ったから気になる。
         しかし、雪の振り方ではなくつもり具合である。そうなると
         冬の中・後頃→たくさん降って積もりそうだから聞いている。
                ということは冬の盛り。

  【場】  場所(地方)はどこか
    ・いくたびも〜たづねけり
      ①北・雪国→雪になれていれば何回も聞いたりしない。
      ②南→南国だと積もることはない。
      ③中央→普段は積もらないが積もることはある。東京か
    ・どういう場所か
      ◎外が見えない場所/部屋の中/窓のない部屋?
      ×いる場所は雪が降ってなくて、電話で聞いているとも考えられ    
       る。しかし、明治時代なのでありえない。また何回もたずねて   
       いるのでその点からも身近にいる人に聞いていると考えられる。

  【人物】  
     ・病気で動けない状況。それもかなり重い病気。だからこそ雪の
      つもり具合などと言うとるに足らないことを「いくども」たず
      ねている。長いこと病気で寝たままと考えられる。
     ・重病だから、家人も何回も見に行ってあげている。
     ・話者は南国の出身。雪が珍しい。
     ・話者の家族(?)は、話者から何回も何回も聞かれても、そのたびに答えている。
      話者のわがまま?をきいている。→それほど重い病気か?

  【事件設定】  
     ○季語を読む
      ・「雪」→+美しい、白、静けさ、清潔、あわい、温かい
          →−冷たい、汚れやすい、弱々しい、はかない。
      ・話者は「雪」に自分を見ているのかもしれない。雪美しさ、
      清らかさ、しかしそのはかなさ、冷たさに自分の人生を見てい
      るのかもしれない。

4,指導言計画

★「時」
提言 「時」を読もう。→雪・雪の深さを
            雪or雪の深さを、どっち→雪の深さを
助言①冬のいつごろ
  ②季語だけしか時は読めないの。
  ③冬の初め・中・終わりいつごろ。

★「場」
提言 「場」を読もう。雪の深さをたづねけり
助言①雪が積もるんだからどこじゃないと考えられる。
  ②何回も聞くんだから、雪になれているの。

  ①話者は今どこにいるの。
  ②たづねるんだから雪を見てるの。

★「人物」
提言 「人物」に移ろう。
助言①どうして話者は何回も何回もたづねるの。
  ②誰にたづねているの。
  ③なぜ自分で見に行かないの。
  ④どのくらいの病気だろうか。

★「事件設定」
提言 「雪」を読んでみよう
助言 ①「雪」の形象、プラス面は、マイナス面は。
    ②話者は「雪」に何を重ねているのか。
    ③「雪」の形象のどれが関係している。

★「主題」
提言「主題」を考えよう。
助言①今まで読み込んできたことをもとに、この歌の解説文を書いてみよう。
雪の美しさとはかなさに人の命の美しさとはかなさを詠み込んだ歌である。   

話者は重病で長いこと寝たきりでなのであろう。今日は雪がはげしく、南国の出身の話者     には雪はめずらしく、長い闘病生活の中での子どものような無邪気さからか、なんどもなん     ども様子をたずねたのであそう。家人もそれに答えて何度も外を見に行っては話者に話し     て聞かせたのであろう。
          
 未完、残念・・・・・

2012年5月8日火曜日

5月8日例会報告


啄木の短歌 三首を読み比べる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく

たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ご存じ啄木の三行書きの短歌
こうやって並べてみると
三行に分けている意図があることがわかる


サークル前夜、何をしようか散々悩んだすえに
定番の短歌である「ふるさとの訛なつかし」の短歌を
みんなで丁寧にやろうかと考えていた

正直これまで、短歌や俳句の授業では
「構造よみ」は省略したりしていた

昨夜これらの短歌をながめていたら
ふと三行書きには意図があるのではと思い至った
啄木の三行書きでは面白い授業ができるかもしれないと
「構造よみ」も面白いかも知れないと

これまで「ふるさとの訛なつかし」以外の短歌も
例えば「東海の・・・」なども授業をしてきたのだが、、、
今頃になって気づいた

そこでまずは黒板に三首を並べて考えると面白いかも知れないと
やってみたのが本日のサークルだった


まだ面白さを子どもたちに体験させるには
時間的な問題をどうするか
この三首が適当なのか
他にもっと特徴のある三行書きはないか
など研究と工夫が必要ではあるが
新たな課題が見つかりうれしかった



参加者14人。うち学生2名。
その他は12名(うち2名は、就職準備中、残り10名が教員)
後藤くんが顔を見せたのがうれしかった

啄木 ふるさとの訛なつかし


ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく
             石川啄木

短歌の読みの順序は、以下の順序で進める

0表層読み(①視写 ②音読 ③語句・文法・技法)
1構造よみ(起承転結)
2形象よみ(時・場・人物・事件設定)
3主題よみ・感想

一、表層読み
    ふるさと→「古里」「故郷」と違う、やさしい、温かい。
    訛→読み方を問う。字の成り立(言葉が化ける)や、前後(ふるさとの)から推測する。「方言」と違う。「標準からはずれた」という意味がある。出身地の証明。方言がどちらかといえば体系をさすのに対して、訛は響きをさす。方言は標準語に対してそれ以外をさすのに対して、訛は自分の出身地の言葉、ふるさとそのもの。
    停車場→駅の事だが、駅とどう違う。一般には「ていしゃじょう」と読むがこの場合リズムとして「ていしゃば」の方があうと思う。
    そを→其・夫『代名詞』他称。相手側の事物・人、または話題の事物を指し示す。格助詞の「の」「が」を伴う例が多い。それ。(国語大辞典)
「それを聴きにいく」
    聴く→耳を傾けて注意して聴きとる。
聞く→耳で聞く。聞こえてくる。

二、構造読み
A
起 ふるさとの
承 訛なつかし
転 停車場の人ごみの中に
結 そを聴きにゆく

B
起 ふるさとの訛なつかし
承 停車場の人ごみの中に
転・結そを聴きにゆく

1行目十字、二行目十字でそろえてあり、三行目が短くなっているところから、形式的には三行目が「転・結」と考えられる。(構造は形式であることを確認)

三、形象読み
「時」
(軽く扱う。啄木という名前がある以上そこから知っていることは読む)
    啄木→明治時代の人。
    停車場→昔の言い方。→昔であるが、汽車がある時代。明治か。
「場」
(結局ふるさとにいるのか、都会にいるのかという論争になる)
    停車場の人ごみ→駅に人ごみができる→都会。
    人ごみの中にそを聴きにゆく↓ 
×そを聴きに行くんだから古里の駅にいく。ふるさとにいるのであれば、駅に行く必要がないし、「場」で都会の駅と読んだ。
 ×汽車に乗ってふるさとの駅へ行く。→行くなら駅でなく家に帰ればいい。  
 ○訛を懐かしんでいるのだから、ふるさとに今すんでない。
 ○都会の駅のふるさとの人が集まる場所(ホーム)にいく。(上野駅)

「人」(なぜ都会に来ているのか、どういう心情かと読む)
    訛なつかし→ふるさとを恋しく思っている。ふるさとを出てずいぶんたつ。
    そを聴きにゆく→だからふるさとにいない。遠く離れている。
◎聴きにゆくくらいならなぜ帰らないのか。
ア遠くはなれているから。
イお金がないから。
ウふるさとに帰ると都合が悪い何かがあるから。
エふるさとは実は心休まる場所ではない。
オ一旗揚げようと考えて出てきているので、それまで帰れない。
   
「事件設定」
    都会ではさびしく思っている。訛を使いたい→都会になじんでいないのでは。
    ふるさとに帰れないなにかをかかえているのでは。
上野駅の啄木の歌碑

2012年5月1日火曜日

白いぼうし1



白いぼうし  あまんきみこ

0,   表層よみ(表読み)

   範読を聴き、初発の感想を書き発表する。題名・作者・・・白いぼうし  あまんきみこ
あまんきみこの他の作品などを紹介する。

   ジャンル  文学作品(物語・ファンタジー)
物語には物語の読み方・読む方法がある。それを覚えるのがめあて。

   疑問に思ったこと

   登場人物→松井さん
他に登場人物などを確認する。

   起こったこと調べ(場面分け)いわゆる場面分けである。教師主導で進めていく。この作品では、行間空きが目印となるが、場面ごとに何があったかを自由に発表させて確認する。
1の場面…松井さんとお客さんの話(夏みかんの話)
2の場面…かわいい白いぼうしをひろった話(白いぼうしとの出会い)
3の場面…女の子の話(非現実の世界)
4の場面…女の子が消えた話

   変わったこと調べ(オープンエンドで自由に出させる)
物語の中で、変化したこと、変わったことなどをみつけさせる。場面分けが粗筋に関わるとすると、変化はプロットにかかわってくる。粗筋以外の視点で物語を見ることは重要である。ここでは、子どもの自由な意見を肯定的に受け止めていくようにする。ちょっとした変化でもいい。
・捕まっていた蝶が助かる
・夏みかんがちょうに変わった
・女の子が(突然現れて)突然消えた
・つかまった蝶が逃げて仲間の元へ帰った

   進出漢字・語句 意味分からない語句を出させる。以下の2つは必ず確認する。
・夏みかん
・つば


※ 非現実的なことのはじまりと終わりの確認
  「白いぼうし」はファンタジーであり、物語中、非現実世界が出てくる。それを確認する。女の子の登場から女の子が消える部分が非現実的な世界であることを確認す