2012年9月23日日曜日

「くじらぐも」(なかがわりえこ)   教材研究

※サークルで提案したものだが、まだ走り書き程度であり、指導言もねられていない。あくまでもたたき台として提案しておく。

★作品構造(1年生なので授業では指導しないが、教師の教材研究として)
・冒頭・・・四じかん目のことです。(日常)
・発端・・・「まわれ、みぎ。」(子どもたちが働きかける日常と非日常の狭間)
・山場のはじまり・・・その ときです。(子どもたちが雲にのる 非日常)
・クライマックス・・・「さあ、およぐぞ」
・結末・・・空は、どこまでもどこまでもつづきます。
・終わり・・・あおい空のなかへかえっていきました。
※サークルでは発端の理由を説明が終わり描写がはじまる部分ということで、「くじらも、たいそうを はじめました。」にしたのだが、「くじらも、たいそうを はじめました。」から「まわれ、みぎ。」の前までは描写的と言えるのだろうかという疑問が残った。「くじらぐもの」からと「まわれ、みぎ。」からでは書かれ方に違いがあると思う。「まわれ、みぎ。」からが描写的と言えると考え発端を「まわれ、みぎ」とした。

1導入部
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 四じかん目の ことです。
 一ねん二くみの 子どもたちが たいそうを して いると、空に、大きな くじらが あらわれました。まっしろい くもの くじらです。
「一、二、三、四.」
くじらも、たいそうを はじめました。のびたり ちぢんだり して、しんこきゅうも しました。
 みんなが かけあしで うんどうじょうを まわると、くもの くじらも、空を まわりました。せんせいが ふえを ふいて、とまれの あいずを すると、くじらも とまりました。

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★「くじら」ってどういうの?
→大きい。おなかが白い。泳ぐ。頭がいい。魚ではなく人間の仲間。
★このくじらは何ですか?
→くも
★くもってどういうの?
→空にういている。白い。ふわふわ、流れていく
★白(い雲)ってどんな色?
→きれい、クリームみたい、ふわふわしている感じ、、、、
★くじらぐもとは、どんなくもですか?
→くじらみただからとっても大きい でも雲だから白い

【時】
★いつの話ですか(時)?分かるところに線を引きなさい
★「4時間目」とはどんな時間ですか?
「4時間目」みんなはにいつも思うことがありますか?あったら発表しなさい。
→給食の前、午前中の最後、もうすぐ終わり、、、、、
★みんなは4時間目が好きですか?それはなぜですか?
★この物語では4時間目は何の授業ですか?
★体育ってどんな時間ですか?
★みんなは体育が好きですか?それはなぜですか?

【場】
★場所はどこですか?分かるところに線を引きなさい。
★運動場ってどんなところですか?みんなは運動場って言葉で思い出すことがありますか?好きですか?理由は?

【人物】
★出てくる人は誰ですか?誰のお話ですか?
→くじら 子どもたち 先生
★「子どもたち」ってどういう意味?「子ども」とどう違う?
★何人くらいいるのかな?
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★「一、二、三、四」は、誰が言っているのか?
「一、二、三、四」って何をしているのか?
★「くじらも」の「も」って何? どこに書いてある?
→「子どもたちがたいそうをしていると」
★「くじらが、たいそうをはじめました。」とどう違う
★同じような「も」はもうないかな?・・・
★「しんこうきゅうも」の「も」は?
→「のびたり ちぢんだりした上に、しんこきゅうさえも」(強調)
「くじらも」
「くじらも」
導入部としてまとめる
★時・・四時間目(体育)→午前中の最後、給食の前。あと少しで大好きな給食の時間。
    体育の時間→大好き。
★場・・運動場=広い 思いっきり走ったりできる場所。しかも天気がいい=みんなが大好きな場所。
★人物・・・一年二組の子どもたち→「あのくじらは・・・」=好奇心
                →「子ども」と「子どもたち」の違い。複数、男女
                →給食前で広い運動場で大好きな体育をしている
                =楽しい。うれしい気分
      くじら=くものくじら→大きい まっ白 ふわふわ浮いている のんびり
          みんなのまねをしているところから学校が好き、子どもたちがすき
★事件設定・・・みんなが4時間目の体育の時間に、体操をしていると、空に大きなくじらがあらわれ、子どもたちのまえをした。

2展開部
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「まわれ、みぎ。」
せんせいが ごうれいを かけると、くじらも、空で まわれみぎを しました。
「あの くじらは、きっと がっこうが すきなんだね。」
 みんなは、大きな こえで、
「おうい。」
と よびました。
「おうい。」
と、くじらも こたえました。
「ここへ おいでよ。」
みんなが さそうと、
「ここへ おいでよう。」
と、くじらも さそいました。
「よし きた。くもの くじらに とびのろう。」
 男の子も、女の子も、はりきりました。

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★「まわれ、みぎ」は誰が言っているのか?
→「せんせいが、ごうれいをかけると」
★「あのくじらは、きっと学校が好きなんだね」は、「誰が」「誰に」言ったのですか?
★みんなは、なぜ、このくじらは学校が好きだと思ったのですか?
→みんなのまねをしたから(たいそう、のびたりちぢんだり、しんこきゅう、かけあし、とまれ、まわれみぎ、よみかけ、、、)
★この子どもたちはどんな子どもたちですか?
→とっても元気、楽しそう、運動大好き、好奇心旺盛、
★このくじらはどんなくじらですか?
●雲が体操をしたり、みんなのまねをするのかな? もし本当にそういうことがあったらどうかな?
→みんなにはそう見えたんだよ。わかんないけど、そうだったらいいな・・・
★最初の「おうい」は、誰が誰をよんだのか?
★二番目の「おうい」は?
★最初の「おうい」と二番目の「おうい」はどうちがいますか?
★なぜみんなはくじらを呼んだのですか?=学校が好きだと思ったから
★同様に「ここにおいでよ」も問う
★「さそう」って何?
★「よしきた。・・・」は誰のセリフですか?
※子どもたちとも読めるが先生とも読める。
★ここはなんだか面白い感じがしませんか?どういうところが面白いのですか?
=掛け合い、くりかえし、くじらがまるでまねをしているようだから
☆じゃあ、「みんなは、大きな声で・・・」から「はりきりました」まではどんな風に読んだらいいかな?
掛け合いが文学の面白さの一つ。それを体感させる方法として音読をさせる。
「子どもたち」、「くじら」、「地の文」に分けてそれぞれどんな風に(大小、高低、速さ、区切りの4つ程度を)読めばいいかを読み取りと並行して確認し、実際にそれぞれの役に分けて音読(群読?)させる。
同様に後半部分の掛け合いも読み取った後に音読させる。
★このくじらはどんなくじらかな?
面白い、やさしい、みんなが好き、、、、


3山場の部
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 みんなは、手を つないで、まるい わに なると、
「天まで とどけ、一、二、三。」
と、ジャンプしました。でも、とんだのは、やっと三十センチぐらいです。
「もっと たかく。もっと たかく。」
と、くじらが おうえんしました。
「天まで とどけ、一、二、三。」
 こんどは、五十センチぐらい とべました。
「もっと たかく。もっと たかく。」
と、くじらが おうえんしました。
「天まで とどけ、一、二、三.」
 その ときです。
 いきなり、かぜが、みんなを 空へ ふきとばしました。
そして、あっと いう まに、せんせいと 子どもたちは、手を つないだ まま、くもの くじらに のって いました。
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★なんで手をつないでまるいわになったのかな?
→力を合わせるため、その方が飛べそうだから、みんなで一緒に飛ぶため、、、、、
★「みんなは手を・・・」から「そのとき」の前までのくりかえしを音読で
三十センチと五十センチを実感させ、その違いも実感させる。
 みんなで飛ぶのだから、声を合わせている。そのためには息も合わせていることを分からせる。
 3回のセリフが徐々に大きな掛け声になっていくことの理由を読み取らせる。必死さも大きくなっている。
「そのとき」はどう読めばいいか考えさせる。
★「天までとどけ 一、二、三。」が3回出てくるけど、どう読んだらいいかな?
それはなぜかな?どうしてそう読むのかな?同じでいいかな?
・最初は三十センチだったから、2回目は今度こそって思って1回目より大きな声になると思います。
・2回目は五十センチになったんだから、だんだん力がこもってきたと思います。3回目は「いよいよ飛ぶぞ」「こんどこそ飛べそうだ」という感じだから、もっと大きな声だったと思います。わくわくした気持ちがあると思います。
・大きさだけでなく、みんなで気持ちをそろえていると思います。
★「そのとき」とは?
→突然、急に、、、①風が吹いてきた。②何かが起こった(変わった)。
 ここから普通ではありえない世界へ(ファンタジー)
★みんなはなぜ雲に乗ることができたのか?→風が吹き飛ばした。
★風はどこから吹いてきたんだろう?なぜ吹いたんだろう?
★じゃあ「そのときです」はどう読んだらいいかな?
・急に吹いたんだから、速く読むほうがいいと思います。
・吹き飛ばしたんだから、そうとう強い風だから、やっぱり大きな声で読んだ方がいいと思います。
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「さあ、およぐぞ。」
 くじらは、あおい あおい 空の なかを、
げんき いっぱい すすんで いきました。
うみの ほうへ、
むらの ほうへ、
まちの ほうへ。
 みんなは、うたを うたいました。
空は、どこまでも どこまでも つづきます。
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★なぜここだけ「くもの くじら」なのか?
★「さあ、およぐぞ」は誰のセリフ
★どこを泳ぐのですか? くじらがいう泳ぐってどういうこと?
★くじらはどこを泳ぎましたか?
→「あおい あおい 空の中」
★「あおい空」と「あおい あおい空」ではどう違いますか?
★同じような使い方の言葉があります。線を引きましょう。
→「どこまでも どこまでも」
★くじらはどこへ行きましたか?
→「うみのほうへ、 むらのほうへ、 まちのほうへ」
★「うみのほうへ・・・」とはどういう意味ですか?
→あちこち 遠くまで 、、、
★みんなは、なぜ歌を歌ったのですか?歌ってどういうものかな?
→楽しい。うれしい。わくわくうきうき
★「どこまでも どこまでも」とはどういう意味ですか?
→空が広いってこと
★空が広いということがわかる言葉は他にありませんか?
→「つづきます」
★「つづきます」と「つづいています」ではどう違いますか?進行形・完了形?
 「つづいています」は目の前に広がっている、続いている感じがする。
※これをどうやって子どもたちに実感させるのか、、、、
 
4終結部
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「おや、もう おひるだ。」
せんせいが うでどけいを みて、おどろくと、
「では、かえろう。」
と、くじらは、まわれみぎを しました。
 しばらく いくと、がっこうの やねが、みえて きました。
くじらぐもは、ジャングルジムの 上に、みんなを おろしました。
「さよなら。」
みんなが 手を ふったとき、四じかん目の おわりの チャイムが なりだしました。
「さようなら。」
くもの くじらは、また、げんき よく、あおい 空の なかへ かえって いきました。
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★「おや、もうおひるだ」は誰のセリフ?
 どんな気持ちで言ったのですか
★学校からどのくらい離れていたのですか。それがわかるところに線を引いてみましょう。
→「しばらく」だから結構遠くまでいっていた
→「みんなが手をふったとき・・・チャイムが・・」だから長い時間飛んでいた
★学校の屋根を見たことがありますか?なぜ学校の屋根が見えたのですか?
★「鳴りだしました」と「なりました」の違いは?
★なぜここだけ「くじらぐも」なのか?


●変化したこと
くものくじら(p4)→くじら→くものくじら(p9)→くじら→くじらぐも(p12)→くものくじら(p13)
みんながいる場所  運動場→空→ジャングルジム(運動場)
日常→非日常→日常  非日常のはじまり=「そのときです」
※課題
・「よし きた。くもの くじらに とびのろう。」は誰の言葉か?
・「そのときです」の読ませ方。
・くじらぐもの呼び名の変化に意味はあるのか?
・音読の部分の指導。
・子どもたちへの「線引き」のさせ方

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