2012年6月5日火曜日

「わたしと小鳥とすずと」 教材研究


わたしと小鳥とすずと     金子みすゞ

      わたしが両手をひろげても、
      お空はちっともとべないが、
      とべる小鳥はわたしのように、
      地面をはやくは走れない。

      わたしがからだをゆすっても、
      きれいな音はでないけど、
      あの鳴るすずはわたしのように
      たくさんなうたは知らないよ。

      すずと、小鳥と、それからわたし、
      みんなちがって、みんないい。

1、構造よみ
起①~④ 承⑤~⑧ 転⑨ 結⑩
考察
 ※①~⑧までは対句的(対応句)
 ※⑨だけ七音七音の七七調
 ※一連「わたし」「小鳥」・四行
二連「わたし」「すず」・四行
三連「わたしと小鳥とそれからわたし」=「みんな」・二行
 ※①~⑧までは「ない」「ない」と否定的であるのに対し、⑨⑩は「いい」と肯定へと  変化

2,技法よみ
★律
八五調①②④⑤⑥⑧
七五調③⑦⑩
七七調⑨
全体として七五調
→軽快な調子で、はずんだ感じ
→話者の心情の表れ。明るくはずむような楽しい気持ち。
→「ちがう」ことによる喜び、楽しさ。
 ★対句(対応句)
①②・⑤⑥   ③④・⑦⑧   一連(①②③④)・二連(⑤⑥⑦⑧)
Aリズム感
 B内容的に整った感じを与え、安定感を生じさせる
C両者のコントラストを際立たせる
 D同傾向の特徴を強調する。
(私←→小鳥)(私←→すず)それぞれを否定しつつ、対応句(①②と③④・⑤⑥と⑦⑧)となっていることで逆に両者を相乗的に肯定している。
そしてそのことが「みんなちがってみんないい」へとつながり正に「ちがう」=否定的・負であることが「いい」=肯定的・正へと逆転している
 ★くりかえし
  「わたしが~ても」①⑤  効果は対句と同じ
 ★題名と⑨の順序が違うのはなぜか? 題名の最後に「と」がついているのはなぜか?

※まだ試案でしかありません。みんなで実践・研究をかさねて豊かなものに!!

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